「雪那、本当にごめんね!」
慌て声と共に、
千柳様が私を優しく抱きしめてくれた。
私の頬で感じる、千柳様の心音が、
なぜか私の心を
ぎゅーぎゅーと痛めつけてくる。
一緒に暮らしていた頃は
毎晩10時が待ち遠しくて。
抱きしめてもらえるだけで、幸せで。
ずっとこの関係が続けばいいのにって、
強く強く、願っていたはずなのに……
今は、千柳様の腕をほどいて欲しいと
思ってしまう。
大好きなはずなのに。
千柳様のことが、子供の頃から
ずっとずっと大好きだったのに。
拒絶したいほどの心の痛みは、
どこから湧いてくるの?



