「雪那は、俺が怖いの?」
「そんなことは……」
「じゃあなんで、俺から逃げるの?」
そう言われましても……
千柳様が私に
怒っているように感じますし……
こんな千柳様を見るのは
初めてなので……
一歩一歩、私が後ろに下がる度。
そろりそろりと
千柳様が距離を詰めてきて。
ガチャン。
書類棚のガラスの扉に、
私の背中がぶつかった。
「もう、俺から逃げられないよ」
私を逃がさないように、
ガラス扉に両手をついた千柳様。
悪魔っぽく微笑む千柳様の顔が、
ゆっくりと私に近づいてきた。
千柳様の吐息が、
頬にかかるほどの距離。
胸のドキドキが、耳にまで響いて来て。
恥ずかしくて。
どうしていいかわからなくて。
うつむくことが精いっぱい、



