☆雪那side☆
千柳様……
いきなり……どうされたのですか?
千柳様は、理事長室のカーテンを閉め。
ドアにカギをかけ。
真剣な顔で、私の前に立った。
普段の余裕を帯びた微笑みも、
穏やかな笑顔も一切ない。
強い意志が込められているような
怖いほど凛とした瞳が、
私に向けられている。
「何か……
怒っていらっしゃいますか……?」
「雪那には俺が、
怒ってるように見えるの?」
声は優しい。
おっとり口調も変わらない。
でも……
何かが違う……
「目が……
笑っていらっしゃらない……ような……」
「へ~。雪那は俺の目を見るだけで、
そんなことまでわかるんだね」
「ずっと千柳様に……
お仕えしておりましたので……」
ピクリとも笑わない千柳様。
瞳がねずみ色に光っていて。
まるで悪魔にとりつかれたかのように、
目がすわっていて。
迫られるたびに
怖さで後ずさりしてしまう。



