完全鎮火まで
あと少しだったのに。
怒りの導火線に、再び
火をつけるかのように
天音君が私に、
王子様級の透明ボイスをふりかけた。
「せっちゃん、大丈夫?」
「何が?」
「この不良先輩に殴られてない?」
これには
即反応した万里先輩。
「俺は、女に手なんか出さねぇよ!」と
天音君に詰めよっている。
でも天音君は、それを交わし
私の両腕に手を置いた。
「言いなりになれって、脅されたりは?」
「だから俺、そんなことしねぇから」
「僕はせっちゃんに聞いてるんです!
せっちゃんの体は、拒否反応出てない?
蕁麻疹とか?」
「出てないけど……」
「それなら、害はなさそうだね」
いきなり晴れたように
ゆるっと微笑んだ天音君。
「せっちゃんを泣かせたら、許しませんからね」
そう言い残して、
天音君は何事もなかったかのように
帰っていった。



