「本当に、私でいいのですか?」
千柳様は、大会社の次期社長で。
理事長で。
熱狂的なファンに愛されるアイドルで。
千柳様のそばにいる相手が、
元メイドの私なんか……
「雪那はまだわからないの?」
「え?」
「俺がどれだけ、雪那に溺れているか」
だって……
ステージでキラキラ輝く千柳様と
私が釣り合うなんて、
思えなくて……
「誓いのキスで、
雪那にわからせてあげる」
千柳様の手のひらが、
私の後頭部に押し当てられた。
「俺は死ぬまで、
雪那のことを愛し続けるからね」
力強く引き寄せられ、
重ねられた唇。
でも、キスは優しくて。
愛されているのが伝わってくる、
甘くて溺れそうなキス。
何度も触れて。離れて。また触れて。
脳が幸せで麻痺していく。
ほわわんと浮かんでしまいそうな感覚に陥り
現実に引き戻された時には、
千柳様の唇が離れていた。



