蜜甘同居 こじらせ中 ゾルック 二人目




「雪那に……お願いあるの……」


「なんですか?」


「このお屋敷から、出て行かないで。
 俺も……戻ってくるから……」



 
「お願い」と懇願され。

 抱きしめられたまま、
 頭を優しく撫でられた私。



 幸せにつかりきった脳が、
『千柳様のメイドに戻りたい』と
 思ってしまった。





 でもダメ……

 私にはもう、自分の夢がある。


 メイドと両立なんて、甘いことをしていたら
 絶対に叶えられない。




 欲望と夢。

 天秤にかけるように、心が揺らぎ続けていると

 千柳様の悲しげな声が、
 私の耳の鼓膜を震えさせた。




「雪那は、雨宮君のお家に行くの?」



 驚きが強すぎて
 千柳様の腕から逃げ出してしまった私。



 その行動が
 拒絶したと勘違いさせてしまったようで……

 千柳様は悲し気に、肩と視線を落とした。