ひぃあ!
ご主人様の顔に泥を塗るなんて。
幼稚園の時とは言え、
私、メイド失格。
そう思うと。
幼稚園の頃までの私は、泣いて泣いて。
千柳様に駄々をこねてばかりだったな。
「ただの小石まで、とってあるのですか?」
「だって、この石に、
雪那が俺の顔を描いてくれたから」
私が描いたとはいえ、ただの石ですよ?
しかも、王子様級の千柳様の顔を、
かかし級の下手さで描いてあって……
「この石……捨ててください……」
「俺が、捨てる?」
「……はい」
「この石を?」
「できれば……今すぐに……」
だって。
私の描いた千柳様の目が、滲んでいて。
悪霊に見えてきたので。
「捨てるなんて、俺にできると思うの?」
ただの石だし。
お庭にポイっと投げるだけです。
「雪那からもらったものは、全部宝物だよ」
でも……
「撫でると、
その時の思い出が鮮明に蘇るからね」



