「雪那に相談もせず、
勝手に綺月たちを住まわせて悪かったね」
悪いだなんて、とんでもない。
「逆に、千柳様に
お礼を言いたいくらいです」
「え?」
「心美ちゃんと一緒に料理を作るのって、
本当に楽しくて」
「今まで料理は、雪那一人に
任せっぱなしだったからね」
「綺月君の話をする時の心美ちゃん、
顔真っ赤にして可愛いんですよ」
「綺月も、心美ちゃんにべタぼれだしね」
「天音君も優しいですし。
千柳様がいない時でも、寂しくなくなりました」
安心して欲しくて。
私は抱きしめられたまま千柳様を見上げ。
とびきりの笑顔でニコっ。
「それは良かった」って囁いて
さらに私を
強く抱きしめてくれたけれど。
朝から、
こんな贅沢に抱きしめてもらえるなんて。
綺月君たちが
このお屋敷に来てくれたからかな?
今度3人にアップルパイを焼いて
お礼をしようっと。



