「千柳様の文字は、優しくて大好きです。
見せていただき、ありがとうございました」
「待って、雪那」
「え?」
「俺が読むから……
あのソファに座って……」
部屋の隅の置かれた、二人掛けのソファ。
私が座ると、千柳様も隣に腰かけた。
千柳様と肩が触れるくらい狭くて。
ドキドキが、肩から伝わってしまいそうで。
平常心ではいられない。
それなのに
私の心臓に負荷をかけるように、
千柳様が私の耳に
吐息混じりの甘い声を吹きかけた。
「読むよ」
「……はい」
ファイルに視線を落とした千柳様の横顔が、
呼吸を忘れるほど綺麗で。
千柳様の口から流れる自信なさげな声が、
私の胸のドキドキを加速させる。



