部屋を見渡しながら
「あっ」と、私は天井を指さした。
「天井に貼ってあるお月様、
雪那は覚えてる?」
「去年の十五夜で、私が作ったものですよね?
飾ってくれていたのですか?」
私はてっきり、
自分で処分したものだと……
「雪那が俺を喜ばせようと作ってくれたものを、
俺が捨てるわけないでしょ」
長めの前髪からのぞく、
千柳様の優しげな瞳。
見つめられると、
私まで微笑んでしまうから不思議。
「大切にしてくれていたんですね。
ありがとうございます。
本棚にあるたくさんのファイルは、
お仕事用ですか?」
「えっ……と……」
ん? 千柳様?
いきなり動揺を初めて、
どうしちゃったんだろう?
「あれは……
俺の……日記みたいなもので……」
それは、
千柳様のプライバシーに触れちゃうので。
見ない方が良いですね。
「お部屋を見せていただき、
ありがとうございました」
「雪那、待って……」
「え?」
「見て……欲しい……」
「日記をですか?」
「俺が子供の頃から
どれだけ雪那にハマりきっているか……
知って欲しいから……」



