は~、言っちゃった。
身分違いのメイドなのに、
自分の想いを、千柳様に伝えちゃった。
早く荷物をまとめて、
このお屋敷を出ていかなくちゃ。
高校も、転校した方が良いよね。
いっそ高校に通うのをやめて、
働きながら
夢を追いかける道もあるのかな?
大好きな人の背中を見つめながら
サヨナラする覚悟を決めた時、
千柳様が振り返った。
「俺……本当は……
彼女なんていないから……」
え?
「この家を出てからずっと……
氷牙のマンションで暮らしてる……」
「……本当……ですか?」
「ずっと嘘をついていて……
ごめんね……」
苦しそうに歪む千柳様の顔が、
私の心をざわつかせる。
じゃあなんで、千柳様は
このお屋敷を出て行ったのですか?
彼女がいるって嘘をついてまで、
私と離れたかったのですか?



