「千柳……様……?」
私が千柳様の精神安定剤として
抱きしめられるのは、毎夜10時。
もしくは、
千柳様がパニックを起こした時限定。
背中からしか
抱きしめられたことがないのに。
この状態は……一体……??
「雪那に、聞いておきたいことがあって」
「なん……ですか……?」
「綺月たちのことなんだけどね」
私が中1の時。
千柳様のご両親は、
仕事で東京に引っ越された。
私の父と母は、
千柳様のお父様の執事と
お母様のメイドをしていて
今は東京にいる。
それからはこのお屋敷に
千柳様と私だけで暮らしてきたけれど。
2か月前、私と同じ高2の
『綺月君』『天音君』『心美ちゃん』の3人も
一緒に暮らし始めた。



