まだ幼稚園児なのに、俺を喜ばせようと
アップルパイを作ってくれたのが嬉しくて。
早く雪那の笑顔が見たくて。
『雪那が作ってくれたものを、
僕が食べないわけないでしょ?』
俺は思いっきり微笑んだ。
そして、泣き止んだ雪那と
並んでベンチに座り。
満月を見ながら、
雪那の作ったアップルパイを食べた。
リンゴを覆う、
格子状の生地の太さもバラバラで。
砂糖入れすぎ?って思う程、
煮たリンゴは甘くて。
焼きすぎ?って思う程、
焦げの味もしたけれど。
おいしくて。
微笑まずにはいられないほど
おいしすぎて。
お月様みたいに真ん丸なアップルパイを
2人で完食。
その後に
『雪那のアップルパイ……
俺も食べたかったのに……』と
今度は、雪那LOVEのお父さんが
泣きだしたんだっけ。



