蜜甘同居 こじらせ中 ゾルック 二人目




「赤ちゃんの頃から可愛すぎる……
 雪那が悪いよ……」


 ため息混じりの言い訳に、
 天音が俺の耳を引っ張ってきた。



「痛っ」


「千柳さん、せっちゃんのせいにしないの!」



 だって、そうでも思わないと……

 情けない自分を闇に葬りたくなるから。




「あ、でも……
 ある意味、せっちゃんのせいか」


「え?」


「せっちゃんの体も、
 千柳さんの毒で漬かりきっているから。
 お互い様だね」




 天音。
 それって……どういう意味……?



 声にならないハテナを瞳に宿して、
 天音を見上げてみる。



 でも、ハテナの答えは返ってこなくて。

 
「千柳さん。
 これで、歩けるくらいにはなった?」


 俺が頼りなく頷くと、
 天音は俺の腕を引っ張って、立たせてくれた。





「千柳さん、僕と一緒に楽屋に来て」


「いいけど……」


「氷牙さんも綺月君も、
 楽屋立ち入り禁止だからね。わかった?」

 

 
 離れたところで俺たちを見ていた
 氷牙と綺月は、
 天音の迫力に負けたように頷いて。


 俺はセーラー服クッションを
 思いっきり抱きしめながら、
 楽屋まで重い足を引きずった。