蜜甘同居 こじらせ中 ゾルック 二人目



 ハテナを頭に浮かべたまま
 顔を上げた私。




 瞳ががなくなるほどのユルユル笑顔が
 目の前にあって。


 独り占めしたいほど大好きな、
 千柳様の笑顔で。




 催眠術にでもかけられたように
 私の口が開き……


「千柳様が望む物は、なんでも差し上げます」


 気づいたら

 何かに操られたように
 言葉を紡いでいた。





「へ~。なんでもねぇ~」


 千柳様の瞳には、悪そうな光がキラン。



 わ……私……
 とんでもないことを言っちゃった!




「で……でも……
 千柳様に……あげられないものも……
 やっぱりあって……」


 両手をフルフル振りながら、
 私はプチパニック。




「俺にあげられない物って、雪那の命とか?」


 命?


「私の宝物は、
 そんな無価値なものではありません」


「雪那の命が無価値って……
 本当に思っているの?」


 もちろんです!

 

「千柳様が死神に連れ去られそうになったら、
 私の命を差し出しますから!!」


「もう、雪那ったら。
 自分の命は大事にしなくちゃでしょ」





 千柳様は微笑んで、
 私の頭を撫でてくれたけれど。



「ご主人様を幸せにするのが、
 メイドの役目なんです!」


 きっぱりと言い放った私は
 可愛げがなさ過ぎだなぁと、
 一緒にため息もこぼれる。