アンケートの配布に集計、その他もろもろに追われているとあっという間に金曜日になった。
「あ、そうだ。朔、俺今日から一旦家に戻るから。日曜に帰るよ」
朔「了解」
朝それだけ言って学校へ向かう。
授業が終わると、少し荷物をまとめて外に出た。
誠さんの家は学校の最寄り駅から電車で2駅の場所にある。
そこから20分ほど歩いたところに、私が大好きな家が。
1ヶ月ぶりぐらいに帰ってきたが、すごく懐かしい感じがする。
こんなんで3年間大丈夫なのだろうか、と苦笑しつつも家の鍵を開けて入る。
「ただいま」
返事がないということは、美鈴さんは今日仕事なのだろう。
美鈴さんがいる時は、笑顔で“ 玲音ちゃんおかえり!”と言ってくれるから。
凛が明日泊まりに来るのでゲストルームを掃除しておいた。
それから父さんの形見のピアノを弾いた。
兄さんとお母さんと暮らしていた家から“ ピアノだけは ”とわがままを言って持ってきた。
父さんとの想い出が詰まった大切なピアノ。あの家に置きっぱにすることだけは、何がなんでもしたくなかった。
幸い、この家には防音室があったし、誠さん達も“ 父さんのピアノ ”を大切に扱ってくれる。
今なら思う。誠さんたちが音楽に理解がある人でよかった。
