コンコン
「どうぞ」
どこかで聞いたことがあるような声。
扉越しだと声がくぐもって聞こえて誰だかわからない。
「失礼します、理事長…って誠さん?」
誠「この姿では初めましてだな。
改めて、理事長の橘 誠です。」
そう、理事長は私の面倒を見てくれている誠さんでした。
……どうしてここを私に勧めたか、そして私がここに決めた時嬉しそうだったかが分かった。……誠さんが理事長だからか。
今更ながら1人で納得していると、誠さんが不思議そうな目で私を見ているのに気づいて、誠さんに向き直る。
「それで?用ってなんですか。」
誠「まず1つ目は、これ。玲音の寮の鍵。
玲音の部屋は最上階の1番左の部屋だから。
2つ目は体育のことなんだけど……どうする?やる?それとも…やめとく?」
そうか…男装しているから体育どうするか考えないといけないんだ。特に水泳と着替えのことについて。
「体育は受けます。水泳はやめておきます。運動しすぎると病院の先生に怒られるから……着替えはシャツの下に体操服を着るから大丈夫。」
わかった、と返事をしながらも少し心配そうな誠さん。……そんな顔しなくても大丈夫なのに。
