旭side



噂の生徒会役員に会った。
身長は170cmぐらいで筋肉質ではないけど、無駄な脂肪が一切ついていない体。
“あの”魁斗が生徒会に入れるくらいだから、結構な変人かと思ったら、普通に礼儀の正しい子だった。
彼が体育祭のプリントについての説明をしていると階段の方が騒がしくなった。



玲音「先輩すみません!E組とF組にも配布を頼むのお願いします!」


何かに気づいたように彼は俺にプリントを押し付けて走り出す。
……速いな。遥でもこんなに速くない。
歴代の生徒の中でも1番足が速いという噂も本当だったようだ。





俺も急いで階段の方に行くと、そこには倒れた女子生徒と、その女子生徒を庇ったであろう玲音がいた。



騒がしくなったのはこれか、と思いつつそのまま様子を見る。



玲音「皆さんくれぐれも気をつけてください。1年ごときが偉そうにすみません。でも本当に危ないので。
では朝礼も始まりそうですし、失礼します。」


玲音は周囲にそう言って、丁寧なお辞儀をし去っていった。




……俺は彼のことを少し見下していたな。いやだいぶ、か。まさかこんなことの為に走り出したとは思わなかった。
しかも、女子生徒を庇うなんて。
運が悪かったら骨折しかねないのに。
玲音と遥は少し似てるなと思いつつ、玲音に頼まれたプリントを他クラスに渡しておいた。




旭side end