コツコツと私と誠さんの足音が静かな廊下に響く。
もう授業は始まっているだろうな、グラウンドからランニングの時の掛け声が聞こえてくるから。
理事長室の前で立ち止まり、扉を開け入るように促される。
「それで話ってなんですか?」
私がそう聞くと少し話しにくそうな顔をする誠さん。あぁ、その顔は“ 家族 ”に関することかな。
誠「玲音のお父さんの妹さん夫婦から玲音に会いたいって連絡が来てる。妹さん夫婦とその息子さんに会ってみないか?」
へぇ、そんな話が……。でも……私には……。
誠「顔を合わせる資格がないって思ってるのか?妹さん夫婦はそんなこと思ってないと思うぞ」
図星だ。顔を合わせる資格がないって思ってる。何も反論できない。
私のせいで父さんが亡くなってるのに……
