紫苑がいつの間にか寝ていて、時雨も寝ていた。時雨は寝ているのが通常だが……。
少し声を抑えるようにしながら凛が言う。
凛「えっと、今日はありがとう」
実は今日、終業式が終わってすぐ水着を買いに行く前に、凛の家からこの家に服や家具を運び込んでいたのだ。
夏休みの間この家で過ごすにも服がないと困るから。
凛はもう二度とあの家に戻りたくないようで家具も運んで貰えるように頼んでいた。
私的には高校3年間は凛にこの家で過ごしてほしいのだが、凛はあまり迷惑をかけたくないと思っているようなので、そんな願いは口に出さない。
朔「役に立てたなら良かった」
瀬那「頼る相手が俺たちで正解だったな〜」
本当は業者さんに頼もうとしていたが、凛がその人たちとちゃんとコミュニケーションを取れるのかが心配になって、結局ハル達に頼んだのだ。
皆と過ごす時間が増えてきたからって、凛が男嫌いを克服した訳でもないし、皆以外の男の人と話すのはまだ無理そうだから。
