柊に“合流しないと”とは言ったものの、私はお手洗いに行っていた。
そして出ようと思ったその時、ある会話が聞こえてきた。
「旦那様は朔様への当たりが強いですよね〜。何かあったんですか?」
「貴女は最近来たものね…。ここだけの話よ?
長男の周様は何においても平均より少し上ぐらいな方だけれど優しくて、才能のある方よ。それで旦那様は周様を跡取りに考えていらっしゃるの。
次男である柊様は気まぐれであまり勉学がお得意でない方で、旦那様も手を焼いてらっしゃったのだけど……今は柊様がすることを全て黙認してらっしゃるわ。
それで三男の朔様は朔様の兄であるお2人と比べてもとても優秀な方だけれど、旦那様は認めていないの。何故でしょうね…?」
「……朔様は大変ですね〜。だって兄2人分を合わせた計3人分の期待を背負ってるんですからね」
声の主はこの家に使える女性二人だった。
盗み聞きになったのは申し訳ないが、“ここだけの話”と言っていたあたり、パーティーの客に聞かせていい話ではないのだろうと、出るタイミングを失っていた。
