検査で異常がなかったため、すぐに退院できた。
家に帰ると、真っ暗でそこにはもう母さんの荷物も兄さんの荷物もなかった。
もう家族は終わった、そう感じて泣き喚く。
「っ、うぅ、っく、」
父さんが亡くなって、少し色あせた世界が真っ暗になっていくのを感じた。
色があるけど、ない。そんなふうに感じるようになってしまった。
それから自分の誕生日……11月26日まで普通に過ごしていた。
けど、もう生きる気力も無くなって、自分が生まれた日に死のうと考えた。
高いところから飛び降りて死のうと、近くで人がいない場所を探す。
空きビルなら人がいないだろうと少し歩いて、屋上に向かう。
壊される直前なので、まだ落下防止のフェンスがある。
それを乗り越えようとした時に焦った声が聞こえた。
「玲音!やめるんだ!」
