そうして、いよいよ来てしまったんだ。
家族を引き裂く決定的な時が。
小5の秋、まだ誕生日も来ていない11月の初め、服や食材を買うために朝から出かけて夕方に帰ると、玄関の鍵が開いていて、母さんがいた。
「……ただいま」
絵梨花「あら、おかえり。」
いつもはこんなやり取りさえしないため、少し嬉しかったんだ。母さんの様子がおかしい事には気づきもしなかった。
冷蔵庫に食材を入れ、部屋に新しい服を置いてリビングに戻る。
そして、ソファーで体を休めようとした時、後ろからいきなり首を絞められたんだ。
「っ、ぁ」
絵梨花「……何であんたが生きてんの、生きてていいわけないでしょ。死んでよ」
さっきとは比べ物にならないほどの冷たい声と表情。
“あぁ、私はこの人に殺されるんだ、あの時私が生き残ったから……。”
そう思って抵抗する力を弱めたんだ。
絵梨花「っ、なんで抵抗しないのよ」
後ろで姿は見えないけど、多分母さんは泣いていた。声が震えていた。
そして私を殺して自分も死ぬんだろうなと勘で分かった。
