女性「お礼をさせて下さい!」
「いえ、いいんですよ。そんなこと」
女性「良くないです。せめて病院代……」
「大丈夫ですから。むしろ搬送されたのがこの病院で助かったぐらいですし。さっきの美澄先生は気心知れた仲なので。
……そうですね、でしたら検査のために入院しなければならない気がするので、息子さんを連れて遊びに来てくれませんか?」
女性「それは良いんですが、やっぱりどこか怪我を……」
女性の言葉に首を横に振る。怪我はしてない。検査は今回のことに関してじゃないんだ。
「他の人には内緒にして頂きたいのですが、私は元々心臓が悪いんです。それで数ヶ月に1回というふうに検査をしていて、本当は来週検査に行く予定だったんです。だから本当にお気になさらないでください。」
私の言葉にしぶしぶ納得した様子の女性は丁寧にお礼を言い、帰って行った。
広い病室に1人きりになり、そっと深いため息を着く。
はぁ……やっぱり病院は嫌いだ。
何回来ても“あの時”を思い出す。
家族がバラバラになった“あの時”を。
