いつか再会する時まで



ピアノは弾く人によって全くと言っていいほど音が違う。
弾く人だけでなく、ピアノのメーカーによっても全然違う。
小川のせせらぎを連想するようなピアノもあれば、夜空に輝く星を連想するような音のピアノもある。


私の音は“ 紅葉した木々の中にいるような音 ”とか、“ 懐かしく暖かい音 ”など言われる。
ノスタルジックな音……らしい。基本的には。


なぜ“ 基本的には ”なのかと言うと、


「ある曲ではノスタルジックで切ない音、別の曲ではノスタルジックで優しい音」


そんなことをマスターに言われたことがある。
私が“ 音の魔術師 ”と呼ばれていると教えてくれたことがある。
自分ではそんなことを考えたことがなかった。
ただ、ピアノを弾けたらそれで良かったから。コンクールとかには出てたけど……。
でも、それももう辞めようかなと思ってる。多分だけどあと数年しかないから、今のうちにやりたいことを思う存分やろうと思って