路地裏の唄

ツールに意識をやったまま襲い来る分子達を手際よく消去していく。


光の粒子が連続的に辺りに広がり、一時的に路地は明るくなる。





パパパパパァンッ

パァンパァンッパパァンッッ



代々公的なアンインストール分子討伐の為に全てを注いできた乃木家は、戦闘の為の訓練を赤子が自分で立つことが出来た段階で始める。

それは男女関係なく、相当に過酷なものだ。


それは現在深梁程前線に出るわけでない桧奈も、勿論深梁も例外ではない。

先代達より遥かに機関に対する忠義意識は薄く、指導者に反抗も意見も言うがすべき事を投げているわけではない。




自分の身長より長さのある、その華奢な掌に収まりきらない武器を軽々振り回し、壁を走り地面低く移動する。

まるでハチドリの如く、胴と腕が一体でありながら別々の生き物のように動き周り見る間に分子の数を減らしているにも関わらず、息一つ乱れていない。




その戦闘における実力の高さが機関の中でも歩兵クラスであるペィツォール所属の深梁に単独巡回が許可されている理由なのだ。