路地裏の唄

「メーカーは洗脳プログラムを使ってんのか」

「恐らく、俺はマスターレスになって動けなかったところをメーカーに拾われたんだろうな。
中にはマスターレスになったばかりのまだ自分で機能出来るうちにメーカーのもとに自らの足で来た奴もいる」






妙な光景でもある。

敵として今まで機関や現樂、そして県達が戦って来たはずの相手が、自分の本拠地たる内部の情報をこうもすんなりと話している。


これはラビットが"ヒト"でなくケータイだからここまで極端に成り立った光景なのだろう。




マスターと言う人工知能を成長させる規範をなくしたケータイは新しいマスターが決まらない限り自分で思考することが出来なくなり、それまで蓄積されてきた自立機関へのデータは常に入り込んでくる何もないという"白紙"の情報で徐々に消えてしまう。

メーカー達はそのからっぽになった自立機関をプログラムによって一部機能しないようにし、マスターが設定されていなくてもメーカー側の命令を聞いて動けるようにするのだろう。


おそらくそれが大まかな"洗脳"の仕組みだ。