県達が所属する集団『ラプソディア』は国家非公認のワクチンソフト達の集団だった。







「給料も出るし…って国に認められてないのに何処からお金出るの?」


緋奈咫の説明ののち合流した原十郎から現樂の提案の話を聞いた律が最初に聞いたのはそれだった。



「実際には黙認されてるんだと思うよ」


対面のソファに腰掛けたままの玖科が充電用のクラゲ型クッションを抱えたまま眠そうに言う。


「僕たちの生活費にも振り込まれてるみたいだし」



曖昧な言い方から、県達二人はあまり職業として意識しているわけではないらしい事がわかる。




「上に知り合いが数人いてな。
必要なもんはそっちから流させてる」




そう言いながら紙の束から目を上げずに部屋に入って来た現樂を見るなり律は椅子を立つ。



「あの…」と声をかけるも反応はなく書類の山の向こうへ行ってしまう。



「ありがとうございました」


律は構わず頭を下げる。



「もー樂さぁん!」


県がぷうと頬を膨らませ声を上げると書類の向こうから「はいはい」 とでも言いたげなため息が聞こえすぐに、


「そこの」


と声がかかった。