「なでしこ、大丈夫か?」

 「リュウ……。ごめん、大丈夫だよ」

 「あまりムリするな」

 リュウは優しいから、そう言っていつも頭を撫でてくれる。

 「うん……。ありがとう」

 そんなリュウの優しさに、いつもわたしは甘えてばかりだなって思った。

 「まだ緊張してるか?」

 「……うん、緊張してる。心臓バクバクしてて、飛び出そうだもん」

 「じゃあ、緊張がほぐれるおまじない教えてやるよ」

 「おまじない?」

 緊張がほぐれるおまじないって、なんだろう?

 「ああ。……ちょっとだけ、目を閉じてて」

 「え?」

 「いいから、ほら」

 「う、うん……」

 リュウに言われた通り、わたしは目を閉じた。すると……。

 「……え?」

 リュウはわたしのおでこに、優しく口づけた。

 「ほら、緊張ほぐれただろ?」

 「…………。なっ、なんっ……!」

 それはおまじないじゃないって……!は、恥ずかしい……!