「……バカリュウ」

 「ふっ……。行くぞ?」

 リュウは、わたしの手をぎゅっと握りしめた。リュウの手は大きくて、温かくて、優しくて……。そして、何よりも力強かった。

 「ねえ、リュウ……」

 「何だ。どうした?」
 
 「……わたし、嫉妬した」

 「え?」 

 「……ドラマの撮影の時、リュウが、荒蒔繭那のことを抱きしめたり、頭撫でたりした時……。なんかこう、すごく……悔しかった。演技だって分かってて、嫉妬した……」

 リュウにはきっと、こんなこと関係ないだろう。わたしの気持ちなんて、きっと分からないだろうと思っていた。

 だけど……。やっぱりわたしは、リュウのことが好きだから、嫉妬するし、悔しくもなる。

 「……大丈夫だ。俺がずっとお前のそばにいる。嫉妬してくれるのはもちろん嬉しいけど、俺はお前しか見てないから、安心しろ」

 「……うん、ありがとう」

 リュウの言葉は魔法だ。こんな心を落ち着かせてくれる。最高の魔法だ。