「なっ、な、な……。何す……んっ!?」

 かと思ったらまた、リュウら今度は少しだけ強く唇を重ねてきた。

 その瞬間に、わたしの手からはレンのコースターと缶バッチが離れていった。

 どうして、キスなんてするの……。そう思っていたはずなのに、わたしはそのキスを拒むことはできなかった。

 そして気づけばそのまま、唇を重ねたまま目を閉じてしまっていた……。

 「……今度は目ちゃんと閉じたんだな? 偉いじゃん。良くできました」

 リュウは怪しく笑うと、缶バッチとコースターを拾ってもう一度わたしの手の中に握りしめると、そのままポケットに手を入れて歩き出した。

 「……っ……」

 その瞬間に感じたのは、わたしはもうリュウのことを、〈好き〉になっているということだった。

 キスされても、拒むことはできなかった。……ううん、拒めなかった。拒むことを、わたし自身が拒否したような気がした。

 「……なでしこ?どうした?」