「……リュウ」

 「そんなこと気にしてたら、この世界では生き残れないぞ? お前はこれから、俺がモデルとして名を残せるようにしっかり育てていくんだ。……今からそんなことで弱音なんか吐いてたら、この先もっと苦しくなるぞ?」

 「…………」

 リュウのその言葉は、わたしの胸に深く刺さった。……確かにそうだ。わたしはまだ無名のモデルだ。名前もない、ド素人のモデル。リュウという恋人が、わたしをこの世界に入れた。そしてこうやってモデルとしての仕事をさせてくれて。何より、ドラマにも出演することが出来た。

 「分かったか?なでしこ」

 「……はい」

 リュウのことをとにかく信じるしかないと思った。わたしたちは表向きは恋人ということになっている。だったら尚更、わたしは頑張らないとと思った。

 「……リュウ、ありがとう」

 「べつに。さ、帰るぞ」

 「……うん」

 わたしはリュウとともに、撮影スタジオを出た。わたしはこれでもう、しばらくドラマの撮影はないから、少しだけ安心。