「……ねぇ、リュウ……」
「ん?」
「……ううん。やっぱり、何でもない」
わたしがリュウの彼女でいることは、わたしにとっては本当にいいことなのか、分からなくなった。
荒蒔繭那にも言われた。わたしはリュウには相応しくないと。そんなことは分かっている。分かっているのに……。
「さすがリュウだね。演技すごくうまくて……。思わず引き込まれちゃったよ」
わたしのその言葉に、リュウは顔を上げてわたしをみた。
「……なでしこ、お前もよく頑張った」
そしてリュウは、そんなわたしを見て一言そう言ってくれた。
「……そんなこと、ない。わたし、失敗ばかりだし、NGいっぱい出したし……。この仕事、向いてないかも」
「おい、なでしこ。お前はなんでそんなこと言うんだ? お前は今回初めてのドラマだったんだ。緊張して当然だったと思う。……セリフをうまく言えないのも、仕方ないさ」
リュウは優しくそう言うと、わたしの頭を優しく撫でてくれた。