それからしばらく、撮影は続いた。相変わらず荒蒔繭那はリュウを気に入っているようで、リュウのそばにいるわたしを気に入らないようだった。
だけどわたしは、そんなのに負けないと決めた。リュウのことを少しでも知るため、少しでもそばにいたくて。
「高見涼平役のリュウさん!今のシーンを持って、クランクアップでーす!」
「ありがとうございます」
リュウはついに撮影が終わり、クランクアップを迎えた。クランクアップを迎えたリュウに、スタッフやキャスト陣から盛大な拍手が起きていた。そして監督から、リュウは花束を受け取った。
「リュウ、クランクアップ、おめでとう」
「ああ、ありがとう。なでしこも、撮影お疲れ」
「……ありがとう」
わたしはリュウよりも1週間早くクランクアップしていたため、リュウがクランクアップを迎えるのを間近で見るために撮影現場に来ていた。
「2ヶ月、あっという間だったな。早かった」
「うん、そうだね。……わたしには、長かったけど」