そう思ったわたしは、思わず駆け足でスタジオへと向かっていた。

 「……リュウ!」

 「なでしこ? お前何やってるんだ?帰れって言っただろ?」

 リュウはわたしの所へと来ると、そう言って呆れた顔をした。

 「……リュウ、わたし、帰らないから」

 「は?何でだよ? お前また、アイツに何か言われてもいいのか?」

 「……いいよ、言われても。だけどわたしは、絶対に負けない。荒蒔繭那になんて、負けないから」

 「なでしこ……」

 リュウは何も言わずに、わたしを見つめていた。

 「……リュウ、わたしはリュウのことすごく尊敬してる。演技してる姿のリュウは、すごくカッコイイと思うし、すごくいいなって思う」
 
 「……なんだ、突然」

 「リュウの期待に応えたいと思ってる。……だから、わたしのこと見捨てたりしないで?」

 リュウがわたしに対してどんな感情なのか分からないし、どう思ってるかなんて分からない。

 だけど、これがわたしの気持ち。