「……え?」

 「リュウはなでしこさんを、この世界で活躍させようと頑張っていますよ? 社長にも、もしなでしこさんでも出来る仕事があれば、探してほしいと言っているくらいですから」

 「え……。そうだったん、ですか?」

 知らなかった。まさかリュウがそんなふうに言っているなんて……。わたしって、なんにも知らないんだな、リュウのこと。

 「なでしこさんのことを誰よりも考えているのは、リュウですよ? リュウは誰よりも、あなたを輝かせたいと思っている」
 
 菊田さんのその言葉を聞いても、まだ信じられなかった。
 
 「……わたし、リュウのこと誤解してました」

 「はい?」

 「リュウはわたしを、彼女のフリをさせてそばに置いておくためだって言ってました。……だけど本当は、わたしにいろんなことを経験させたくて、着いていくように言ってたんですね」

 「そうです。 リュウはああ見えて口下手だから、言いたいことがうまく言えないんですよ」