「このドラマの撮影の間は、アンタが主演だ。だからアンタのためにやる。 だけどそれ以外の時に、俺の彼女にもし何かまたしようとしたら。今度こそ俺、お前のこと許さないからな?」
「っ……」
唇を噛み締めた荒蒔繭那を見て、リュウは最後にこう言った。
「そろそろ撮影が始まる。出来るのなら、準備しろ。 こい、なでしこ」
「え?……あ、リュウ……!?」
リュウに腕を引かれたわたしは、そのままリュウの控室へと入った。
「りゅ、リュウ……?」
リュウのことを見つめていたら、「バカか、お前は?」と言われた。
「え? ちょっと、バカって何……?」
意味が分からない!バカなのは、荒蒔繭那の方よ! なんでわたしまで?
「荒蒔繭那を刺激するようなことをなんで言ったんだ? 普通に考えたら、あそこで言い返したりしないだろ?」
「ごめん、リュウ……。だけどわたし、悔しくて。荒蒔繭那に、わたしの存在が目障りだって言われて、ほんとに悔しくて……」



