「なっ……。アンタ、素人のくせに生意気なのよ……!!腹立つ……!」
荒蒔繭那が右手を上げたその瞬間に、わたしは叩かれると思った。そして反射的に目を瞑った。
だけど……。
「なっ!?」
「リュウ……?」
リュウがその腕を掴んで阻止していた。……なんで、なんでリュウが……?
「荒蒔繭那さん。俺の彼女に、手荒な真似しないでもらえます?」
リュウはその一言を冷たく言い放つと、わたしの肩を抱き寄せた。
「り、リュウくん!違うの! べ、別に殴ろうとした訳じゃ……!」
その必死に言い訳をしようとしている荒蒔繭那を見て、リュウは更に言葉を続けた。
「悪いけど俺、さっきの言葉、全部聞いてたけど? 有名女優の裏の顔が、俺の彼女にこんな汚い言葉を浴びせる人だなんて……。プロデューサーに知られたら、困るのはそっちだろ?」
リュウのその言葉は、半分脅しているような口調ではあったけど、それでも荒蒔繭那はリュウの言葉ですっかり黙り込んでしまった。



