その後撮影は順調に進んだ。ワンシーンを撮るごとにリュウと荒蒔繭那は本当のカップルみたいな雰囲気になっていってる気がしたのは、わたしだけだろうか……。

 わたしの撮影は今日は3回で、どれもエキストラとしてだから、学校帰りのシーンと、美術室での授業のシーン、お昼休みのシーンの3回で終わった。
 
 後はリュウと荒蒔繭那の撮影をずっと見ていた。だけど荒蒔繭那と目が合うたびに、わたしは荒蒔繭那に嫌われているんだなと感じた。

 これから何回も撮影するというのに、気が引けてしまうし、出来れば会いたくないという気持ちになる。

 だけど負けてられない。……リュウのことを守らないと。リュウに荒蒔繭那から守ってくれと頼まれたけど。荒蒔繭那はすぐにリュウのそばへ行き、その隙も与えてくれない。

 わたしなんて相手にされてないってことは分かっているけど、なんだか悔しい。……嘘でも、リュウの彼女はわたしなのに。

 なんて思っている自分がいて、恥ずかしさと悔しさとで。変な感情になった。