「先生……!わたし、死ぬのが怖い……!」

 荒蒔繭那のその一言のセリフでも、情熱や魂を感じる。……そして何よりも、リュウのことを本気で好きなんだという気持ちがリュウに対しても、演技の中でも溢れ出ていた。

 さすが、荒蒔繭那……。リュウに負けないように必死で食らいついている。

 リュウはもう子役の時代からこの世界に携わっているから、実力や役者歴はリュウの方が長い。だけど荒蒔繭那とリュウの演技力が合わさると、それはまさかに倍になる。

 「大丈夫だ。……先生が付いてる」

 思わず見入ってしまうくらいに、リュウの演技力に引き込まれてしまう……。だけど演技だと分かっていても、リュウが他の女の子を抱きしめたりするのを見て、わたしはチクリと胸が痛む気がした。

 「先生、わたし死にたくない……。死にたくないよ……」

 そう言って涙を流す荒蒔繭那のそのシーンは、誰もが思わず見入ってしまうほどに、心を揺さぶった。

 「すごい……。すごいな、ふたりとも」