そんなある日のことだった。

 休日にアニメイトに行くため歩いていた時。誰かに声をかけられた。

 振り返ったわたしは焦った。だってわたしの目の前には、あの《リュウ》がいたからだ。
 
 変装をしてるとはいえ、あのスキャンダルの一件で分かる。あの髪の毛の感じ、身長。間違いなくリュウだ。
  
 なんでリュウがここに?てか、どうしてわたしだってわかったの?

 「……もしかして、山桜なでしこさん?」

 「えっ?」
 
 な、なんでわたしの名前……?

 「やっぱりそうだ。山桜なでしこさん」

 「な、なんでわたしの名前を……?」

 すると彼は、ポケットからあるものを取り出してわたしに見せてこう言った。
 
 「これ、見ちゃって」
 
 「え? あっ!わたしの学生証!」

 どうりで探してもないと思った!あの時、学生証落としてしまってたのか……。

 「ごめん。学生証の中にアニメイト?の地図が入ってて。もしかしたらここに来れば会えるかな?って」