「まぁでも。初めてにしては上出来だったと思うぞ?」

 「……そ、そうかな?」

 「ああ。……実はあの時、お前に本気でキスしようかと思ったくらいだしな?」

 なんてリュウは、笑いながら言った。

 「えっ!?そ、そうなの……?」

 き、キスって……。何考えるの!?リュウのバカ……!

 「なーんてな?冗談だよ」

 「ひ、ひどっ!リュウのバカ……!」

 そうやってリュウは、すぐにわたしのことをからかう。わたしをからかって楽しいのか分からないけど、弄ばれてる気がする。

 今はもう、何もかもリュウの思うままに動いている。リュウにはこの世界に入れてもらった恩があるし、逆らえない。

 「だけど、キスしたくなったのは本当だけどな?」

 「……えっ?」

 立ち止まってリュウを見つめる。そしてリュウは、ポケットに入れていた手を出すと、そのままわたしの頬に触れた。

 「リュウ……?」

 そしてリュウはそのまま、有無を言わさずに唇を重ねてきた。