「なでしこさん、表情が固いね。 もっと笑ってみて?」
「は、はいっ」
「リュウ、もっと顔を横目にしてくれる?」
「分かりました」
リュウは細田さんの要望に次々と応えていく。なのにわたしは、言われたことをやるので精一杯で、頭の中それしかないから。何も追いつけない。
「なでしこさん、顔を少し左に向けて。リュウを見つめてみて?」
「えっ? こ、こう……。ですか?」
リュウを見つめるって、恥ずかしい……!リュウのことを見つめるって、なんでこんなに緊張するのだろぉ……!?
恥ずかしい気持ちが強くて、思わず目をそらしてしまう。
「ストップ! なでしこさん、リュウのこと見つめるの恥ずかしい?」
「……は、はい。恥ずかしい、です……」
「だったら、今度はその恥ずかしい気持ちを全面に出してみてくれる?」
「えっ? あ、は、はい……。やってみます」
細田さんの要望に応えられるように、わたしも頑張ってみた。……リュウに迷惑をかけられないから。



