「そっか。……じゃあ細田さんに伝えておく」

 リュウはそう言うと、わたしの頭を撫でてスタジオから出て行ってしまった。

 「待って!リュウ……!」

 わたしは思わず、リュウの腕を掴んで引き止めてしまった。

 「なでしこ?」
 
 リュウが不思議そうにわたしを見ている。

 「……わたしにも、出来るかな?」

 そんな不安が募っていく。

 「大丈夫だ。俺が付いてる。……心配するな」

 「……でも」

 「大丈夫。オレがサポートする」
 
 「リュウ……」
 
 リュウのその温かい言葉が、わたしの胸に刺さってなんだか少し安心した。

 「不安なのは誰だって同じだ。初めては誰だって不安になる」

 「……リュウ」

 リュウはどうしてそんなに優しいの……?

 よく分からない。どうしてそんなに優しくするのか。

 どうしてわたしなんかを、彼女にしたのか。……全部分からない。

 「オレが付いてる」
 
 リュウのその一言で、わたしは救われた。