「リュウ、ちょっと来なさい」
「はい」
リュウは社長さんに呼ばれて向こうに行ってしまった。
「はぁっ……」
緊張した。すごく緊張した。
写真を撮るだけなのに、何でこんなにドキドキしたんだろうか。 あ~もう、いつもアニメキャラと撮っている写真とは次元が違っていた。
本格的な撮影で、緊張感が高かった……。
「なでしこ、社長が呼んでる」とリュウはわたしを呼びにきた。
「えっ? あ、はい……」
え〜何言われるんだろ?……めちゃくちゃ怖いよ。社長さんに何か言われると思うだけで、胸が変にドキドキして。鼓動が早くなりそうだった。
「なでしこさん、写真見たわ」
「はぁ……」
「まだ初心者丸出しの写真だったわね?」
「……すいません」
それはそうだ。カメラマンさんに写真を撮ってもらうことなんてないのだから。
初めてなんだから、そんなの分かる訳ない。いい写真かどうかなんて、分からない。
「素質があるかどうかは、まだ分からないけど」



