「わ、ワクワク……?」

 そんなのムリだよ!どうやってやるの?

 「そう!うーん、そうねぇ。 あ、じゃあリュウくんとのデートの時を思い出してみて?」

 「えっ? デート……?」

 リュウと、デート……?デートの時を思い出す?

 「そう!手を繋いだ時のドキドキとか思い出してみて? そうすれば、きっといい表情が出せると思うけどね?」

 手を繋いだ時の、ドキドキ……? リュウと?

 ええーっと……。なんていうか、全然想像出来ないんだけど……。

 するとその時。リュウがわたしの手をぎゅっと握ってきた。

 「……えっ?」

 思わずリュウの顔を見上げてしまった。

 「ほら、なでしこ。笑え」

 「ええっ」
 
 む、ムリだよ!そんな急に笑えなんて言われても、そんなのムリだって……!

 「大丈夫だ。 オレが付いてる」

 リュウはそう言うと、その手をぎゅっと握り直した。

 「リュウ……」

 なぜだか分からないけど、気がついたらわたしは微笑みが出ていた。