それがわたしの、地獄の日々の始まりだった。そのアニメのイベントの帰り道、帰宅しようと歩いていた時。

 「ちょっと来て!」と言われ、なぜか腕を引っ張られた。目の前にいるのは知らない男性だ。

 なぜ?え?なぜこんなことに!?訳が分からないわたしをよそに目の前の彼はわたしの手を引っ張ったまま走っている。
 
 「ちょ、ちょっと!なんなんですか!?」と声をかけても「もう少しだから!」と言われて何も教えてくれない。

 どのくらい走っただろうか。気が付けばわたしは、どこだか分からない所にいた。

 そして目の前にいるこの男性は、息を切らしてハーハーしている。

 「あ、あの!なんなんですか急に!」

 わたしが詰め寄ると、彼は「ちょっとタンマ!」と言って座り込んでしまった。

 な、なんなの?この人誰……?なんかどこかで見たことあるような、ないような……。

 うーん……。思い出せない。よくテレビに出てる人だとは思うけど。