撮影が始まって間もなくだけど、少しずつ雰囲気にも慣れてきた。なるべくNGを出さぬように気を付けながら、わたしは撮影を日々こなした。
特に大変なのは、専門用語が出てきたセリフだ。いつもセリフの練習をしてはいるけど、本番になるとうまく言えなくて、噛んでしまうこともあって。そのたびにやり直しになってしまって、もう本当に申し訳ないくらいだ。
そして、ドラマの撮影は本当にハードで、夜中まで続くのだ。眠さもそうだし、集中力が切れそうになってしまう。 だけどそんな時はいつも、先輩女優の渚麻里乃(なぎさまりの)さんが気合を入れてくれて、セリフの確認も一緒にやってくれる。本当にありがたい存在で、わたしはいつも勇気と元気を貰っている。
休憩の時も、ケータリングを食べている時も、わたしはなるべく台本に目を通した。少しでもその役に入り込めるようにしたくて。
リュウが以前、お芝居でのアドバイスをくれた。それは、その役を゙演じる゙のでなく、その役に゙入り込め゙ということだった。



