「……え?」
「なでしこちゃん、なんでリュウなんかと付き合ってるの?」
そして彼は突然、真剣な眼差しを向けて、わたしにそう口にした。
「……それ、どういう意味?」
リュウなんかって、なに……?
「リュウみたいな男と付き合ってたら、なでしこちゃん幸せになれないと思うよ?」
馬渕くんはそう言ってわたしを見つめていた。
「……なんで、そんなこと言うの?」
馬渕くんはきっと、リュウのことがキライなのかもしれない。咄嗟にそう思った。
「まさかなでしこちゃん、リュウのこと本気で好きなの?」
「……好きだよ。リュウのこと」
「あんな腹黒男、好きになっても傷付くのはなでしこちゃんだよ?」
そう言われてわたしは、何も言えなくなった。その時だった。
「おい。お前、俺の女になにしてんの?」
と後ろから声が聞こえた。
「……え、リュウ?」
その声の主は、完全にリュウだった。
「なでしこに何を吹き込んだか知らないけど、俺はなでしこのこと傷つけたりはしないから」