「よし、できた。じゃあもう少しで撮影に入ると思うから、そのまま待っててね」

「はい。ありがとうございます」

 わたしは撮影が始まる前まで、スマホを見ていた。





 ◇ ◇ ◇






「はい。お疲れ様!今日の撮影は終わりね」


「ありがとうございます。お疲れ様でした」
 
 一旦の撮影が終わり、一度控室へ戻ろうと歩き出したその時だった。

「あれ? なでしこちゃん?」

「え?」 

 と誰かに声をかけられた。振り返ると、そこにいたのは……。

「……あっ」

 それは同じクラスの馬渕くんだった。馬渕くんも仕事だったようで、ちょっとオシャレな衣裳を着ていた。

「なでしこちゃんも撮影だったんだ?」

「……あ、うん。馬渕くんも?」

「おう、今から撮影なんだ。 なでしこちゃんはもう終わり?」

「うん。 じゃあ、お疲れ様でした」

 と言って立ち去ろうとしたのだけれど。 突然腕を掴まれて「なでしこちゃん、ちょっと待って」と言われた。